
2026年10月13日 | 包装業界ニュース
2026年10月、世界の包装業界では、海上運賃の低下、欧州の環境政策の見直し、デジタル印刷技術や持続可能な包装材料の進展など、注目すべき動きが見られます。ベトナムにとって、これらの変化は競争力を高める機会となる一方、技術、コスト、輸出基準への対応を求めるものでもあります。
1. 国際海上運賃の低下が包装サプライチェーンに好材料
Freightosの2026年10月6日付報告によると、アジアから北欧向けのコンテナ運賃は3%下落し、40フィートコンテナ換算(FEU)で約3,260米ドルとなりました。アジアから地中海向けも2%下落し、約3,555米ドル/FEUとなっています。
一部の海運アライアンスは紅海経由の運航を段階的に再開しており、アジア・欧州間の貿易航路で航行距離の短縮や輸送能力の改善につながる可能性があります。ただし、地域の治安情勢には依然として不確実性があります。
ベトナム市場への影響
ベトナムは、包装製造に使う紙原料、化学品、印刷インキ、設備の一部を輸入しています。運賃の低下が続き、ベトナムに関係する航路にも広がれば、輸入コストの改善が期待できます。
輸出面では、紙袋、紙箱、産業用包装のメーカーが、顧客の物流費総額の低下を通じて間接的な恩恵を受ける可能性があります。
ただし、国際航路での運賃下落が、そのままベトナム発の輸送価格の同程度の低下を意味するわけではありません。企業は事業計画を調整する前に、実際の見積もり、追加料金、納期を確認する必要があります。
2. EU、中小企業向けEPR手続きの一部簡素化を検討
Packaging Insightsは2026年10月6日、欧州議会のある委員会が、拡大生産者責任(EPR)の枠組みにおいて、一部の中小企業に対する認定代理人の指定義務を一時停止する提案を支持したと報じました。
採択されれば、EU域内での一部の国境を越えた包装事業について、2035年まで行政上の負担が軽減される可能性があります。
現時点では立法手続き中の提案であり、施行済みの正式な規則ではありません。
ベトナム市場への影響
EUは、包装廃棄物の管理、リサイクル可能性、市場に製品を供給する各当事者の責任について、高い要件を設けています。
欧州の顧客に包装を供給するベトナム企業にとって、材料構成、包装重量、コーティング、技術文書の管理はますます重要になっています。
EPR手続きの一部が簡素化されても、他の環境要件が廃止されることを意味するわけではありません。
ベトナムの包装メーカーは、リサイクルしやすい製品の開発、不要な材料の削減、輸入パートナーの法令遵守に必要なデータを提供する能力の向上に引き続き取り組む必要があります。
出典:Packaging Insights、2026年10月6日
3. 欧州で再使用可能なEC包装が新たな開発方向に
2026年10月8日、New European Reuse Alliance(New ERA)は、欧州全域で再使用可能な配送包装システムの構築を進める共同イニシアチブを発表しました。
この取り組みは、識別方法の統一、システム間の相互運用性の向上、使用後の包装を回収するネットワークの整備を目指しています。
包装業界は、プラスチックを紙に置き換えることだけに注力する段階から、繰り返し使用できる製品設計へと取り組みを広げています。
これは業界の自主的なイニシアチブであり、EUの新たな義務規則ではありません。
ベトナム市場への影響
ベトナムの電子商取引は、段ボール箱、配送袋、商品保護用包装に対する大きな需要を生み出しています。
長期的には、再使用の動きが、より耐久性の高い製品、開閉しやすい構造、配送後に回収できる仕組みの研究を促す可能性があります。
特に、企業内物流や店舗間配送など、集中的な回収ネットワークを持つ配送モデルは、再使用可能な包装を試験する場として適していると考えられます。
ただし、環境面と経済面の効果は、使用回数、回収費用、返送物流を含むライフサイクル全体で評価する必要があります。
出典:Packaging Europe、2026年10月8日
4. デジタル印刷が茶色い紙の包装デザインの可能性を拡大
Mondiは、茶色い紙を対象とした多色デジタル印刷ソリューションを発表しました。画像の視認性とコントラストを高める白色の下刷りを、オプションで使用できます。
この技術は、自然な紙の地色を生かしながら豊かな色彩のデザインを実現し、一部の用途では従来の印刷版への依存を減らします。
特に、デジタルデータからの印刷は、需要に応じた生産、柔軟なデザイン変更、包装の余剰削減を支援できます。
ベトナム市場への影響
これは、クラフト紙袋、紙箱、小売向け包装、EC向け包装を製造する企業にとって注目すべき動きです。
小ロット注文、迅速なデザイン変更、包装のパーソナライズへの需要が、柔軟な印刷技術に新たな機会をもたらしています。
供給企業は、製品1個当たりの価格だけで競争するのではなく、キャンペーン、限定版、複数デザインを含む注文向けの印刷サービスを開発できます。
ただし、技術の選択は、生産量、インキ価格、印刷速度、色の要件、設備投資費用に基づいて判断する必要があります。デジタル印刷が、あらゆる注文規模で必ずコスト面の優位性を持つわけではありません。
出典:Packaging Insights、2026年10月6日
5. 紙ボトルの商業生産が始まり、繊維材料の可能性が拡大
Packaging Europeは2026年10月8日、Pulpexがスコットランドに、紙繊維を使うボトルの初の商業規模製造施設を開設したと報じました。初期生産能力は年間最大4,000万本です。
これは、紙繊維を構造に用いる包装製品が、研究・試験段階から工業生産へ移行する注目すべき動きです。
企業の公表情報によれば、このボトルは既存の充填設備や紙のリサイクル回収システムとの互換性を目指して設計されています。
ベトナム市場への影響
紙ボトルの発展は、セルロースの用途が、紙袋、紙箱、段ボール箱などの従来製品を超えて広がっていることを示しています。
ベトナムの包装業界にとっては、紙成形製品、化粧品包装、商品保護用トレー、従来材料の代替ソリューションの研究を深めるきっかけとなる可能性があります。
ただし、液体を入れる包装に紙繊維を使う場合、防水性、バリア層、使用条件下での耐久性、実際のリサイクル可能性を慎重に評価する必要があります。
持続可能性に関する主張も、紙繊維の含有だけを根拠にするのではなく、製品の構造全体に照らして検証する必要があります。
出典:Packaging Europe、2026年10月8日
6. ベトナムの2026年第4四半期輸出見通しが包装需要への期待を支える
ベトナム商工会議所(VCCI)が2026年10月6日に掲載した情報によると、調査に参加した加工・製造業企業の約31%が、2026年第4四半期の新規輸出受注の増加を予想しています。
54.2%の企業は受注が安定すると見込み、約15%は前四半期比で減少すると予想しています。
これらの数字は、調査時点の企業の期待を表すものであり、第4四半期の実際の受注結果ではありません。
ベトナム市場への影響
受注見通しが現実のものとなれば、生産・輸出用の各種包装の需要を支える可能性があります。対象には次のものが含まれます。
産業用商品の段ボール箱および保護包装。
消費財向けの紙箱、紙袋、小売包装。
食品、農産物、輸出商品向けの包装。
年末販促用のギフト包装やブランド印刷包装。
包装メーカーにとっては、輸出企業やサプライチェーン内の事業者との協力を広げる機会となります。
ただし、原材料の調達や生産能力の拡大は、市場予測だけではなく、確定受注に基づいて計画する必要があります。
ベトナム包装業界の展望:成長機会とともに求められる革新
2026年10月上旬の動きは、包装業界が、サプライチェーン費用の最適化、環境要件の高度化、生産技術の革新という三つの大きな流れから同時に影響を受けていることを示しています。
ベトナムにとっての機会は、輸出受注の増加の可能性だけでなく、製品とサービスの品質向上にもあります。
デザイン、材料、トレーサビリティ情報、納期の要件に柔軟に対応できる企業は、国内ブランドや海外顧客にサービスを提供するうえで、さらなる優位性を得られます。
今後注視すべき三つの要素:
原材料費と輸送費:紙、インキ、副資材の価格、およびベトナムに関係する航路の実際の運賃の変動。
持続可能な包装基準:輸出市場でのEPR規則、リサイクル要件、材料文書に関する正式な変更。
需要と生産技術:輸出予測が実際の受注に転化する度合いと、柔軟な印刷技術や新材料の導入効果。
競争が激しくなる市場環境では、コスト管理、国際基準への適応、主体的な製品革新が、ベトナム包装業界の長期的発展を支える重要な要素となります。
本記事は、2026年10月6〜8日に公表された情報をまとめ、分析したものです。ベトナム市場に関する見解は動向の評価であり、価格や受注を確実に予測するものではありません。
